人工授精

人工授精とは

人工授精人工授精(AIH:Artificial Insemination of Husband)とは、女性の排卵サイクルに合わせて、パートナーの精子を洗浄・濃縮し、子宮内に注入する方法です。自然妊娠との違いは、精子の導入方法だけであり、それ以降の妊娠過程は同じになります。そのため、この方法は自然妊娠に近いと言えます。自然妊娠では精液が膣に入り、そこから精子が子宮に向かいますが、人工授精では精子を直接子宮に注入するため、精子と卵子の出会う確率が高まります。

人工授精が向いている方

  • 精子減少症や精子無力症など、精子に障害のある方
  • 性交障害のある方(著しい性交痛によって性交渉が困難な方)
  • 射精がうまくできない方(勃起障害・膣内射精障害のある方)
  • 精子の進入障害(子宮内に入る子宮頸管の機能に障害)のある方
  • 精子に問題はないがタイミング療法を6周期以上行っても妊娠できない方

人工授精は向いていない方

  • 精子の数、精子の運動率が著しく低下している方
  • 両側卵管閉塞の方
  • 女性の年齢が高い
  • Time to Pregnancyを意識している方

人工授精のメリット

  • 体外受精より自然な方法で受精に繋げられる
  • 体外受精に比して肉体的・経済的負担が少ない
  • 体外受精に比して来院回数が少ない
  • 治療における痛みがほとんどない     

人工授精の見極め方
(ポイント)

人工授精をするか、体外受精をするかは精子の状態とこれまでの治療経過・不妊原因・妻の年齢・Time to Pregnancy(妊娠までの期間)次第と言えます。特に精子の力だけでは子宮や卵子まで到達できない場合に向いているのが人工授精になります。

人工授精のやり方(流れ)

通院のスケジュールは通常、2~3日間です。排卵周期に合わせて次のように進行します。なお、排卵誘発剤を使用する場合や排卵日の推定が難しい場合は、通院が数回必要になることがあります。

1初回受診 (月経時)

排卵誘発剤を使用し、卵胞発育を促します。遺残卵胞の有無の確認に超音波検査を行うことがあります。

2人工受精当日の予約

これまでの経過や超音波検査による卵胞計測などを併用し、排卵日に合わせて人工受精の日付と時間が決定されます。。

3オビドレル注射の使用

人工授精の日時に合わせて、リコンビナントhCGであるオビドレル注射を人工授精の前日もしくは前々日に投与します。ブセレキュア点鼻薬を約35時間前と36時間前に各鼻に1回ずつスプレーで代用する場合もあります。予約の時間によって、点鼻薬の時間が多少前後することがあります。

4精液の採取

人工授精当日、精液は当院で採取するか自宅で採取して持参し、培養室で遠心処理が行われます。禁欲は不要です。禁欲期間は4日以内がよいとされおります。

5精液の注入

子宮内にカテーテルといわれる細い管を使用して、遠心処理された精液を注入します。精液の量はごく少量(0.5cc)であり、ほとんど痛みはありませんが、まれにカテーテルの挿入が難しい場合、子宮の入り口を器械で操作することがあり軽い痛みを感じることがあります。

6安静

注入後の安静は不要です。人工授精後、少量の出血がみられることががありますが、カテーテル操作や膣鏡操作による影響のためすぐにおさまります。治療に影響はないためご安心ください。

7薬の処方

必要に応じて抗生剤、卵胞ホルモンの貼り薬・飲み薬、黄体ホルモンの飲み薬が処方されます。
また、必要に応じて排卵を促すhCGの注射を投与します。

8通常の生活

人工授精後は、特別な安静は必要なく、通常の生活、軽い運動、お風呂なども問題ありません。

9妊娠判定

人工授精後3週間で来院していただき経腟超音波にて胎嚢(GS)を確認し、妊娠を判定します。胎嚢が確認できない場合、採血にて血中hCGを測定し判定します。妊娠に至らない場合、通常人工授精後おおよそ2週間で月経となることが多いです。

精液の採取方法について

人工授精の予約をする際に、精液を採取するための特別な容器をお渡しいたします。当日は、人工授精の予約時間の30分前までに必ず提出してください。提出後、精液を遠心処理するために30分から1時間ほどお待ちいただくことになります。
精液の提出が遅れると、待ち時間が長くなり予約時間に遅れる可能性があることをご理解ください。当院での精液採取の場合、予約時間の1時間以上前にご来院いただき、予約時間の30分前までに精液を提出できるようにお願い申し上げます。
自宅で精液を採取する場合は、可能であれば2時間以内、遅くとも4時間以内に採取し持参してください。禁欲期間は7日以内、可能であれば4日以内が理想的です。前日性交渉をもってもかまいません。

人工授精で期待される変化

  1. 精液の遠心処理により、不純物が取り除かれより高濃度で運動性良好な精子を獲得できます。そのため、軽度の乏精子症・精子無力症の方に対しては特に有益であると言えます。
  2. 子宮の入り口は、子宮内に有害な微生物などが侵入しないようにバリアの役割を果たしています。このエリアは精子にとって通過が難しい部位ですが、カテーテルとよばれる管を使用することで、より多くの精子を卵管に送り届けることが期待でき卵子との出会いがスムーズになり、受精の可能性が高まります。
  3. 排卵を調節するためのhCGの注射や点鼻薬を使用することで、人工授精を行う日にちを排卵に合わせて調整できます。排卵から時間が経過した場合、妊娠率の低下が懸念されます。そのため排卵直前・直後に人工授精を行うことが有効と考えます。

人工授精の副作用

感染のリスク

通常、精液に含まれる細菌は子宮頚管によって子宮内への直接侵入を防がれます。しかし、人工授精の場合、このバリアを通過し、精液が子宮内に直接入ります。精液は遠心処理により洗浄され、ほとんどの細菌は取り除かれますが、完全にゼロにするのは難しいことがあります。また、元々膣内に存在する細菌が子宮内に入る可能性があります。卵管は腹腔と連絡しており、子宮や卵管に細菌が入ると、腹膜炎を引き起こす可能性があります。子宮内膜症のある方やクラミジア感染の既往がある方は、このリスクがやや高まることがあります。一方そういった感染のリスクは極めてまれのため、耐性菌の増加の危険や子宮内フローラの乱れも懸念されることから当院ではとくに既往のない方には予防的抗生剤は推奨しておりません。

費用

年齢にかかわらず健康保険の適応になります。                         加入する医療保険の種類によっては給付対象になる場合があります。ご自身の加入する保険会社にご確認ください。

  費用(3割負担)
人工授精 5,460円

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