妊娠を改善するための漢方

漢方治療に向いている方

  • 原因不明不妊症と言われた方
  • 人工授精体外受精してもうまくいかない方
  • 不妊治療に疲れて少し違う方法も取り入れたい方
  • 不妊症以外に体質などに不安のある方
  • 生理不順や無月経のある方
  • 精子の濃度や運動率を指摘された方

など

不妊症と漢方(東洋医学)

不妊症と漢方(東洋医学)不妊症に対するアプローチは、病院での対症療法的な治療(ホルモン療法や人工授精など)が一般的です。しかしながら、東洋医学の観点では、個々人の体質、体型、生活環境に応じて様々な漢方薬を選び、その人に適切な治療を行います。
漢方薬は即効性のあるものではありません。個々の状態に合わせて丁寧に処方し、ゆっくりと体質を改善していくことが重要です。このアプローチにより、妊娠の可能性を高めることができるのです。体調に合わせた漢方薬を選定し、じっくりと取り組むことで、理想の結果に近づけることができるでしょう。

妊娠しづらい状態「血虚」

妊娠しづらい状態「血虚」

女性の人生には、月経・妊娠・出産・授乳・更年期など、何度か血液が不足しがちな段階が存在します。このような時期には、生理痛の悪化や妊娠が難しくなるなどの症状が現れることがあります。東洋医学では、この状態を「血虚(けっきょ)」といいます。
日本の女性によく見られる冷え性や貧血といった症状も、「血虚」が原因であるとされています。下記のような症状がないかチェックしてみましょう。

  • 体温が低く、特に手足やお腹が冷たい感じがする。
  • 顔色がくすんでいて、健康な印象を受けない。
  • 乾燥した肌で細かいしわが気になる。
  • 眠りが浅くて熟睡感が得られない。
  • 髪がつややかでなく、切れ毛や抜け毛が目立つ。
  • 貧血傾向で、めまいを起こしやすいことがある。
  • 生理の出血量が少なく、生理周期が長くなることがある。
  • 便意を感じるが、排便が難しいことがある。
  • 爪が薄くて割れやすい。
  • 疲れやすく、立ちくらみを感じることがある。
  • 血圧が低い傾向がある。
  • 気分が沈みがちで、気分が落ち込むことがある。

など

東洋医学(漢方)で
みる不妊症のタイプ

東洋医学(漢方)において、不妊症のタイプは以下のような体質に分けられます。

腎虚(じんきょ)

腎は生命エネルギーや生殖、成長・発育を司る重要な臓器とされています。年齢、ストレス、栄養不足、睡眠不足などが要因となり、腎虚が進行すると、女性ホルモンの分泌や卵巣の機能が低下し、妊娠が難しくなることがあります。

瘀血(おけつ)

瘀血とは、血液の循環が悪くなる状態を指し、卵巣や子宮への適切な栄養供給が困難になります。下半身の冷えや月経の異常、さらには子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患にも繋がる可能性があります。

気血両虚
(きけつりょうきょ)

妊娠には血液だけでなく気のエネルギーも重要です。気血両虚の状態では、子宮や卵巣への栄養供給が不足し、健全な卵子や子宮内膜の形成が難しくなります。

肝気鬱結
(かんきうっけつ)

ストレスが原因で気の流れが滞る状態(気滞)であり、全身の機能低下や瘀血、特に女性の場合は月経の異常や生理痛、胸の張りなどの症状が現れることがあります。

妊活・不妊治療に
使用することがある漢方

桂枝茯苓丸
(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸は、血液と水分の代謝を調整し、瘀血(血行不良)を改善します。下半身の冷えや栄養不足を緩和し、妊娠しやすい体づくりをサポートします。冷えると血管が収縮して全身の血流が悪化しますが、「桂皮」という成分は血管を拡張し、体を温める働きがあります。また、「桃仁」と「牡丹皮」といった成分が血液の流れを改善します。

服用をお勧めする人

体力が比較的あり、血行不良による月経異常や足の冷えなどの不調を抱える人に適しています。のぼせやめまい、肌荒れ、にきび、しみなどの症状も緩和されることがあります。

服用に注意が必要な人

虚証のタイプと呼ばれる免疫力が低い人や胃腸が弱い人、疲れやすい人など虚弱体質の人は合わない場合があります。

服用上の注意

妊娠中の人は避けましょう
「桃仁」と「牡丹皮」は血行促進の作用が強いため、妊娠中に服用すると早産のリスクが高まる可能性があるため、注意が必要です。

当帰芍薬散
(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散は、血液不足を補い、水分の循環を改善し、全身の代謝を整える作用があります。血液を通じて栄養を運び、体を温め、全身の冷えを改善し、妊娠しやすい状態に整えます。「当帰」と「川芎」という成分は血液を補う効果があり、血行を良くします。また、「芍薬」は筋肉の緊張を和らげ、血管の健康をサポートします。更に、「沢瀉」、「茯苓」、「白朮」といった成分が水分の代謝を整えます。

服用をお勧めする人

虚証のタイプで、冷え性や貧血の症状を抱える人に適しています。生理不順や月経異常、生理痛、めまい、立ちくらみなどの「血」不足による症状の改善に効果的です。また、むくみや水分の増加にも良い影響を及ぼします。

服用に注意が必要な人

胃腸が弱い人(食欲不振、吐き気、下痢などがある)場合、消化器症状が悪化する可能性があります。

加味逍遥散
(かみしょうようさん)

加味逍遥散は、血行不良を改善し、気の循環を促進する効果があります。このため、生理周期に伴うイライラや精神不安定、過度の緊張に対して効果があります。からだにストレスがかかると気の流れが滞り(気滞)、血行不良が起こり、月経異常などが引き起こされることがあります。主成分である「柴胡」と「薄荷」は、イライラや緊張を和らげる働きがあります。また、「当帰」と「芍薬」などは血行を促進し、胃腸や子宮、卵巣の機能を改善するのに役立ちます。

服用をお勧めする人

虚証タイプで体力が中程度以下の人、ホルモン周期によるイライラがある人に適しています。また、肩こり、冷え、頭痛などの症状を持つ人にも効果があります。

服用上の注意

妊娠中の人は避けましょう。
「牡丹皮」は血行促進の作用があるため、妊娠中に服用すると早産のリスクが高まる可能性があります。

柴苓湯(さいれいとう)

柴苓湯は、内臓の健康を促し、胃腸の消化吸収を向上させ、免疫機能を調節し、抵抗力を高める作用があります。「柴苓」と「黄芩」という成分は、免疫反応を調節し、炎症を和らげる働きがあります。また、「乾姜」と「桂皮」は体全体を温め、冷えを改善します。
柴苓湯は、習慣性流産や不育症にも適しています。これは免疫異常の改善や血液の凝固リスクの軽減などの効果があるため、妊娠中のストレスに対しても一定の効果が期待されています。

服用をお勧めする人

体力が中程度で、中間証から虚証のタイプの人に適しています。喉が渇き、尿量が少なく、吐き気、食欲不振、急性胃腸炎などの症状がある人にも効果的です。また、むくみや水溶性の下痢などの症状にも使用できます。

服用に注意が必要な人

体力が顕著に低下している人は慎重に服用しましょう。

服用上の注意

複数の漢方薬を服用する場合は注意が必要です。配合成分の「甘草」が重複し、偽アルドステロン症などの副作用が起こる可能性があります。

温経湯(うんけいとう)

温経湯は、血液を補給し、血液循環を改善することで、全身に必要な栄養を供給する効果があります。これにより、代謝が滞って生じる生理不順、生理痛、冷えなどにも効果が期待されます。主成分である「当帰」と「川芎」は血液を補い、血行を促進します。また、「牡丹皮」は血行を強化する効果があります。更に、「人参」と「生姜」は体の代謝を活性化させ、胃腸機能をサポートします。特に腹部や下半身の冷えを改善します。
温経湯は、脳に働きかけて黄体形成ホルモンの分泌異常を整え、排卵を促進し、黄体ホルモンの適切な分泌をサポートする作用が報告されています。

服用をお勧めする人

脈やお腹の弱い虚弱体質の人に適しています。上半身や肌、唇が乾燥している一方で下半身が冷える人や、ホルモンバランスの乱れによる生理不順、更年期障害、不眠、神経症などの症状がある人にも効果があります。

服用に注意が必要な人

妊娠中の人は避けましょう。血行を強く促進する「牡丹皮」が、妊娠中に服用すると早産のリスクを高める可能性があります。
複数の漢方薬を服用する場合は注意が必要です。配合成分の「甘草」が重複し、偽アルドステロン症などの副作用が起こりやすくなる可能性があります。

八味地黄丸
(はちみじおうがん)

八味地黄丸は、腎と生殖機能を包括的にサポートし、卵巣の機能を向上させる作用があります。「腎虚」の状態を改善するための代表的な選択肢です。高齢不妊の治療にも使用されることがあります。主に、配合成分の「地黄」には、自律神経のバランスを調整して月経異常を正常化する作用があります。
実際に、八味地黄丸は難治性不妊の患者に対して効果があるとされており、卵胞刺激ホルモンや受精卵数の増加が報告されています。特に原因不明の高齢不妊に対して、男女問わず使用されることがあります。

服用をお勧めする人

虚弱体質で体力が低下している人に向いています。腎や生殖機能の衰えによる下半身の冷えや痛み、頻尿・乏尿などの排尿トラブルなどに使用できます。

服用に注意が必要な人

体力が充実している人やのぼせがある人は、副作用が出やすくなる可能性があります。また、胃腸が弱い人は食欲不振や吐き気、嘔吐、下痢などの症状が悪化する可能性があるため、慎重に服用しましょう。

服用上の注意

「附子」の副作用に注意が必要です。過剰摂取すると中毒症状(ほてり、熱感、悪心嘔吐、しびれ、不整脈、めまい)が現れる可能性があるため、服用する際には適切な摂取量に気を付ける必要があります。
また、妊娠中の人は「牡丹皮」の血行促進作用が流早産のリスクを高める可能性があるため、服用を中止する必要があります。

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