男性不妊症

男性不妊症とは

男性不妊症とは定期的に性交渉を行っているにもかかわらず、1年以上妊娠できない場合、不妊症が疑われます。不妊症の原因は女性側にあると考えられることも多いですが、実は不妊症の半数ほどは男性側に要因があるとされています。

男性不妊症の原因

男性不妊症の原因(不妊の原因が男性側にある要因)としては、下記のようなことが考えられます。

  • 造精機能障害

  • 精路通過障害

  • 性機能障害

など

造精機能障害

造精機能障害は、精子を作る機能が低下している状態です。男性不妊症の原因として、最も多くみられます。精巣の中で精子を作る力が低下するために、射精できても射精した精液の中の精子の数が少ない、あるいは精子の運動率が低下するといった状態が起こり、結果として妊娠しづらい状態を作ってしまいます。造精機能障害の原因ですが、半分以上は原因不明です。原因不明でない場合は、精索静脈瘤や薬剤の影響、下垂体性性腺機能低下症、精巣形成不全症候群などがあります。

精路通過障害

精路通過障害は、勃起や射精ができない状態です。満足に性行為ができないことが不妊症に繋がります。近年、男性不妊症の原因として増加傾向にあります。

勃起障害(ED)

勃起障害(ED)は、性行為を行う際に十分勃起を維持できない状態を指します。EDの原因として、心因性のものもあります。これは、女性の排卵日に合わせて性行為を行い「子どもを作らないと」という過度なプレッシャーが交感神経を優位にすることで起こります。勃起自体は副交感神経優位の時に起こりやすいもののため、リラックスして行うことで改善できることもあります。なお、勃起障害に対しては、薬物療法が有効です。当院でも、EDに対する薬の処方を行っています。お気軽にご相談ください。

射精障害

勃起できても射精できない場合もあります。そのような状態を射精障害と言います。射精障害にはいくつか種類があるのですが、近年多いのは膣内射精障害と呼ばれるものです。これは、マスターベーションでは射精ができるものの、女性の膣の中で、性行為中に射精ができない状態です。勃起障害と比較して射精障害は治療が難しい傾向にあります。治療が難しい場合、シリンジ法や人工授精や体外受精を検討します。

性機能障害

性機能障害とは、精子の通り道(精管)が詰まることが原因で、精子が外に出てこなくなる状態です。精子が外に出てこなくても、もともと射精液の90%ほどは前立腺液や精嚢液と呼ばれる液体で占めているため、精子が出ているかどうかは精液検査をしなければ分かりません。閉塞している(詰まっている)箇所が特定されれば手術により精巣内の精子を採取することができます。また、それにより体外受精も可能になります。射精できているものの、妊娠に繋がらない場合、男性不妊のことも考えて精液検査を受けてみることも一つの手段です。

男性不妊症の検査

メンズルーム男性不妊症が疑われる場合、精液検査や超音波検査、血液検査(ホルモン検査)、性感染症検査などが行われます。精液検査により精液の量や精子の濃度、精子の運動率などがわかります。精液検査で基準値を下回る場合、乏精子症や精子無力症、奇形精子症、無精子症が考えらえます。

男性不妊症が
見られたときの治療

人工授精

人工授精採取した精子を調整し、子宮内に注入する治療法です。調整する過程で運動性の高い精子を回収して使用していきます。体外受精より費用が安く、経済的負担も少ない治療法です。造精機能障害や性交障害の場合、またタイミング法で妊娠に至りにくい場合にも行われます。ただし、人工授精では妊娠が困難なこともあり、その場合には体外受精(顕微授精)を行います。

人工授精

顕微授精

顕微授精顕微授精は卵細胞質内精子注入法(ICSI)と呼ばれることもあります。選定した卵子の細胞内に精子を顕微鏡下で注入します。卵子の活性化の具合にもよりますが、80%程度の確率で受精するとされています。顕微授精は受精が期待できない場合に行います。

体外授精

精巣内精子回収法(TESE)

無精子症(精液内に精子が認められない)の場合には、男性不妊を専門とした泌尿器科にて精巣内精子回手法(TESE)を行う必要があります。近年では、より侵襲性の低い顕微鏡下精巣内精子回収法(micro-TESE)が行われています。こうした治療が必要な場合には、連携する医療機関をご紹介いたします。

精巣内精子回収法

がん生殖(精子凍結保存)
について

がん治療前に、精子を収集して凍結保存する方法です。保存された精子は、妊娠を望むタイミングで解凍し、人工授精や体外受精、顕微授精などに使用されます。化学療法や放射線療法による悪性リンパ腫や白血病などの影響で精子の生成機能が低下する場合や、精巣摘出手術や直腸がん手術による勃起障害が心配される場合に、この方法が検討されます。

がん治療や生殖医療以外にも、男性のスケジュールの関係で新鮮な精子を手に入れることが難しい場合や、精子の数や運動能力が低い場合に、収集と凍結を繰り返して精子を蓄え、人工授精や体外受精、顕微授精に利用されることもあります。

精子凍結保存のリスク

精子の凍結保存に関連するリスクとして、凍結・解凍の過程で精子の運動率がおよそ半分に低下することがあります。そのため、精液所見によっては人工授精・体外受精に十分な精子が得られない可能性があり顕微授精をおすすめすることがあります。なお、凍結・解凍した精子を使用して生まれた子供と通常の妊娠によって生まれた子供との間に、成長発達や先天的異常の発生率において差異は見られないとされています。

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