卵子凍結保存について

卵子凍結とは

卵子凍結とは、将来的に妊娠を望む方が若くて卵子の質が良いうちに卵子を採取し、専用の技術で凍結保存しておく方法です。女性の年齢とともに自然妊娠の可能性は低下していきますが、卵子を若い年齢のまま保存しておくことで、将来の妊娠や体外受精に備えることができます。

1. 医学的適応の卵子凍結

がんなどの病気による治療(化学療法や放射線治療など)で卵巣機能の低下が予測される場合、治療前に卵子を凍結しておくことで、治療後も妊娠の可能性を残すことができます。

2. 社会的適応(選択的)卵子凍結

結婚や出産のタイミングを自由に選びたいというライフスタイルの変化により、将来の妊娠に備えて卵子を保存しておく女性が増えています。
また、東京都が2023年9月に助成金を開始したことでより注目が集まっています。
特に30代以降では、卵子の質が徐々に低下していくため、早めの凍結が推奨されるケースもあります。

日本産婦人科学会の動画はこちら↓
https://www.jsog.or.jp/medical/865/

当院が保管先として提携している「Grace Bank」では、無料の個別相談を行なっていますので、まずは相談したいという方は是非ご活用ください。

「Grace Bank」無料個別相談

卵子凍結における妊娠率

将来の妊娠に凍結した卵子を使用する場合、必ず体外受精を行う必要があります。
凍結した卵子は使用時に融解しますが、この融解の過程で約5~20%の卵子がダメージを受け、使用できなくなる可能性があります。
また、融解後に精子と受精させても、すべての卵子が受精するわけではなく、受精しても良好な胚(受精卵)に成長するとは限りません。

凍結卵子のステップ別成功率(参考値)

  • 融解後に卵子が生存する確率:80~95%
  • 生存卵子が受精する確率:60~80%

以下は、保存した卵子10個を使用した際の妊娠成立までの確率を、年齢別に示したものです。

未受精卵融解後に、卵子が生存→受精し、質が良好な受精卵が確保できた場合に、
卵子10個あたりで妊娠できる確率

30歳以下 約80%
31~34歳 約75%
35~37歳 約53%
38~40歳 約30%
41歳以上 約20%以下

卵子凍結による妊娠の可能性は、凍結時の年齢によって大きく変わることが分かっています。特に35歳を境に卵子の質と妊娠成功率は急激に低下する傾向があるため、将来の妊娠を考えるならできるだけ若いうちに卵子を保存することが重要です。

当院での卵子凍結の流れ

排卵誘発から採卵までの期間を採卵周期と呼んでいます。生理開始後数日以内にご来院ください。

1Grace Bankの会員登録

事前にGrace Bankに登録をお願いします。

登録はこちら

2事前検査

まずは事前検査にお越しください。

3排卵誘発開始

月経開始後1~3日以内にご来院いただき、排卵誘発を開始します。

4検査・採卵日の決定

月経開始後9~11日目ごろにご来院いただき、ホルモン検査・超音波検査を行い、採卵日を決定します。

5採卵

月経開始後12~14日目ごろが採卵の時期となります。

採卵当日の流れ

卵子凍結における採卵は、排卵のタイミングを事前にコントロールしたうえで実施されます。以下は、採卵当日の主な流れです。

1排卵の有無を確認

超音波検査にて排卵状況を確認します。すでに排卵が起こっている場合や卵胞の成長が不十分な場合は、採卵を中止することがあります。

2採卵(所要時間:約10分)

問題がなければ、採卵を行います。処置自体の所要時間は約10分です。

3術後の休息とご帰宅

  • 静脈麻酔を使用した場合:処置後は約2時間休息いただき、その後ご帰宅となります。ご自宅では安静にお過ごしください。
  • 静脈麻酔なしの場合:約30分の休憩後にご帰宅が可能です。体調に問題がなければ外出も可能です。

卵子凍結の保管方法

当院では、凍結卵子の保管先として卵子凍結保管サービス「Grace Bank」(公式サイト:https://gracebank.jp/about/)と提携しています。
凍結卵子は長期間の保管が前提となるため、万が一、当院が医師の急病等により閉院した場合でも、卵子はGrace Bankにて安全に保管されているため、急いで転院先を探す必要はありません。
また、転居などで当院への通院が難しくなった場合でも、Grace Bankと提携している全国のクリニックへ凍結卵子を移送することが可能です。

Grace Bankの会員登録

Grace Bankをご利用いただくには、事前の会員登録が必要です。登録はこちらからお願いいたします。
Grace Bankは、さい帯血保管実績のあるステムセル研究所が運営しており、その保管システムは25年間無事故の実績を誇ります。最新のモニタリング機器と厳重なセキュリティ体制により、大切な卵子を安心してお預けいただけます。
将来的に凍結卵子を用いた体外受精を行う際は、全国の提携クリニックにて不妊治療を受けることが可能です。

Grace Bankの主な特徴

  • 液体窒素の自動供給システムを導入
  • 24時間体制の監視・記録・緊急対応
  • 地震や津波など自然災害に強い立地
  • 最高水準の耐震建築基準をクリアした施設
  • ALSOK社による24時間セキュリティ体制
Grace Bank
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卵子凍結のリスク・副作用

排卵誘発剤による副作用

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といい、腹痛や腹部の膨満感の症状があげられます。
当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせて排卵誘発の方法や量を慎重に調整しており、過度な刺激を避けた治療方針を採用しています。
そのため、重篤な副作用が起こるケースは非常にまれです。ただし、薬の効き方には個人差があり、軽度の卵巣腫大が見られる方もごく少数いらっしゃいます。多くの場合は、数日間の安静によって改善します。
なお、入院が必要となるような重度のOHSSの発生頻度は全体の1%未満とされています。

採卵による副作用

採卵は経腟超音波下で卵巣を穿刺し、卵子を吸引する手技です。
一般的には安全とされている処置ですが、以下のような軽度の症状が一時的に現れることがあります。

  • 下腹部の違和感や痛み
  • 少量の出血

ごくまれにですが、腸や膀胱などの周辺臓器への損傷、卵巣からの出血や感染といった合併症が起こる可能性も報告されています。
これらのリスクが実際に発生する確率は全体の0.3%程度と非常に低く、万一の場合には速やかに適切な処置を行います。
必要に応じて数日間の入院が必要になるケースもあります。

卵子凍結の費用


項目 費用(税込)
初回相談    5,500円(おひとり様1回のみ)

事前検査(感染症採血・AMH・超音波検査)

約22,000円

採卵周期開始 術前検査(術前採血・心電図)・女性ホルモン採血 約11,000円
女性ホルモン採血(3項目) 7,150円
超音波検査 2,200円
注射薬・内服薬   約55,000~88,000円

採卵術

★変性卵・未熟卵のみ、回収卵なしの場合

220,000円

★49,500円

卵子凍結  55,000円

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